<Tak Jae Hoon 2nd>
<絶版/iTunesにて購入可能>
1996.2

 1996年といえば、韓国ポップス界にやたら事件が続いて明けた年だった。95年暮れより、歌手が続けて変死や自殺を遂げ、自殺未遂を起こし、ソテジワアイドゥルが引退した。そんなわらわらとした時期に発表されたのがこのアルバムである。
 これが出た当時、一番はやっていたのはキム・ジョンミン「スルップン オニャクシク」「マジマンヤクソク」で、このアルバムのタイトル曲である「1:2」が非常によく似たタイプの曲だ。
 押さえ気味の歌い出しから、サビにむかってだんだんと盛り上げてゆくという、韓国式ロックバラードの正統派である曲と、復古調のアップテンポの曲、半々の構成になっている。曲調としては、全体やや歌謡曲寄り。
 タク・チェフン本人がプロデューサーを務め、共同プロデュースは伝説のヘビメタバンド「チョルチャンミ」のキーボーディスト兼作曲家で、やはりこの頃にソロアルバムも出したマ・ギョンシク。チェッキーやFIN.K.Lにも曲を書いている人だ。彼はこのアルバムに3曲を提供している。因みにチョルチャンミの元メンバーで有名どころには、K2(当時2人組だった。キム・ソンミョン、イー・テソプ)がいる。
 また後にCountry Kko Kko3集でリメイクした「アッキョドゥン サラン」は音盤になった最初のタク・チェフンの完全自作曲でもある。「ノルル キダリヌン イユ」はタク・チェフン作詞。この曲はカセットには収録されていないが、多分完成度がこれだけ異様に低いためではないだろうか。

 1集は勢いと素直さで突き進む感じだったのが、2集では歌うワザが身に付いた、という感じか。この頃はまだ、どちらかというと小技を使うより勢いで歌う方が、彼の声には合っていたように思うが・・・。ただ、1→2→Country Kko Kkoと段階を踏んで聴いていくと、ああそうか、と思う部分は多い。プロの歌手が歌いこんで成長する様、というのがわかるのだ。
 バックの音的にはしっかりしていて完成度が高い。あの頃これが売れなかったのは、やはりキム・ジョンミンにはツキがあり、タク・チェフンにはツキがなかった、それだけのような気がする(ちょっと褒めすぎ)。あとは“この曲!”というウリ曲が2曲くらいあれば良かったのにと思う。どれもいいんだけどただそれだけ、という感じだ(やっぱりたいしたことないのかも)。


(2000年記述・2008年加筆訂正)